朗読劇~最果てリストランテ~

こんにちは。ちかです。
4月14日の朗読劇見てきました。
フォトシネマ朗読劇「最果てリストランテ」
見てきたというより、聞いてきた。という方がいいのかなぁ。
視覚情報が極端に少ないから、意識が声に集中する。
昔、小さいときに近所の図書館でやってた読み聞かせ見たいな感じ。
行く前に疑問だった、座ってるの?立ってるの?役柄は?などの疑問もスッキリ。
観劇前夜の様子は下からどうぞ。
ちゃんと手紙も書いていきましたよ( ̄ー ̄)v
舞台上はものすごくシンプル。ステージの真ん中、奥の方に(そんなに奥行きはないけど)
テーブルがひとつ。
椅子が向かい合ってふたつ。
テーブルの真ん中に花瓶がひとつ。カスミソウが1本活けてあった。
テーブルのセットを挟んでスタンドマイクが左右に2本。間隔を空けて立ててある。
で、ステージの左右奥に小さなテーブル、足の長い椅子2つ
小さなテーブルの上にはろうそくが灯してあった。
ステージは以上。ステージ奥面はフルスクリーンでとってもシンプルでした。
出演者は4人。
この日は井出さんの他にはジュンQさん、磯村洋介さん、渡辺絋さん。白のワイシャツにちょっとクリーム色の白いズボンに白い靴で皆同じ衣装。ワイシャツはパリッとしたポリエステルじゃなくて綿にちょっと麻も入ってるかな?って感じの柔らかめの素材。ズボンもきっと綿100%(たぶん)
気になる役どころは、ジュンQさん以外はそれぞれ3役されていた。
井出さんは、警察官・ラーメン屋の大将・おじいちゃん(宮田)
出番が来るまでは奥の椅子に座って待っていて、近くなればスタンドマイクのところまで出てくるというスタイルだった。衣装も皆同じなのは、何役もするからだった。何役にでもなれるように、そして何色にも染まれるように。
台本はいわゆる「本」ではなくて、「台本」だった。本は状況説明とか景色や心情なんかも書かれるけど、ほぼセリフのみ。だから状況や景色はお客さんの想像になる。合間にはさまれる写真によってその想像を補うって感じだった。
ここからストーリーも含みます。井出さんメインで書きます。
死んだ直後の人が三途の川を渡って天国か地獄かに連れてかれるって言うけど、その三途の川を渡る直前にあるレストランの話。きっと川の前にぽつんと一軒立っているんだろうな。
死んだ人で一人、誰に会いたいか?
5人の人が出てきた。自殺、病死、不慮の事故、老衰(たぶん)死に方は様々で会いたい人の関係性も様々だった。
自分が会いたい人って考えたらおばあちゃんか父親かのどっちかだなあ。おじいちゃんごめんよ。なんて考えながら聞いていた。
井出さんの一人目の役は警察官だった。川を渡るのは弟で会いたいのはお兄さん。その、お兄さんが死んだときに電話をかけてきた警察官だった。お兄さんは暴力団の構成員で抗争に巻き込まれて死んだ。ヤクザだと知らなかった弟の気持ちを考えない自分が正義だと疑わない冷血な警察官だった。警察の役職はよくわからないけど、入ってすぐのなりたてホヤホヤってかんじではなくて、7~8年ってところかなぁ。警察官なんだけど、良い人ではなかった。
二人目の役はラーメン屋の大将だった。川を渡るのは宮田さんという人で、お金はあるけど人との関わりはお金だけの人だった。病気になって回りにいた人はみんないなくなった。そんな時に出会った屋台のラーメン屋の大将。元気なおじさんって感じがした。病気の宮田さんに出張屋台をやってくれる優しい大将だった。元気付けるためなのか、店を構えるのに共同経営者になってほしいと申し出る。だから生きてくれなきゃ困ると。大将の優しさにそんな励まし方があるんだなって思って涙が出た。おばあちゃんも父親も病気で亡くなったから余計に病院でのこと思い出した。(あ、大将はまだ生きてる。死んでないからラーメンだけが出てきた。)この大将はきっと店は構えず、まだ屋台でやってるんだろうな。。
最後三人目の役は沖田さんといっておじいちゃんだった。このレストランのシェフであるハン・ソンギュを知る人だった。帽子をかぶって杖をついてゆっくり歩いてきた。往生して、このレストランにやってきたように思えた。沖田さんの会いたい人はハン・ソンギュでまだ死んでいない、30年間眠ったままだという。二人でお店をしていて軌道に乗った矢先のことだった。目を覚ますと信じた沖田さんはハンを延命治療し続けていた。いつ目覚めるかわからないまま、自分の寿命が来てしまったようだ。80歳くらいなのかなあと想像していた。沖田さんが来てハン・ソンギュはすべて思い出した。レストランでシェフをしていたこと、浅煎りのコーヒー、賄メニューの豚の生姜焼きに赤ワインの味。もう行くよという沖田さんについていくハン。ハンがいなくなったら誰がここに来る人をもてなす?って聞いた答えが「誰かが代わりにする。世界はそういう風になってる」って、ものすごく共感した。仕事を辞めた時本当にそう思った。その仕事をやっているときは自分しかやっていないから辞められないと思っていたけど、会社なんて結構どうにかなるもんだと思う。一般人はね。
ただ、5人の一番会いたい人を聞いていて、最後に会いたい人って選んでくれる人と出会いたいなと思った。
私を選んでくれる人はいるんだろうか?
仕事の代わり入るけど、人間としての代わりはいないからね。
3役、年齢も背景も環境も全く違う人だった。それを声で演じ分けていた。動作もほとんどないし、立っているだけだったけど、その立ち方は一人ひとり異なっていた。
教科書の本読みなんて、まったく違うから!(笑)
ここまでが、見ての感想。
今回のチケットにはS席だったので、本番台本(サイン入りで)が特典でついていた。まあ、だから内容が結構詳しく書けたわけで。
台本によると、警察官34歳、ラーメン屋の大将55歳、沖田さん28歳だった。
(沖田さんが28歳プラス30歳しても、58歳で計算が合わない(-_-;) う~ん。本当におじいちゃんだったもん。往生したんだもん。)
5人の主人公が話す前に井出さんが話すシーンが毎回あった。それは沖田としてだったと台本を読んで知った。
沖田自身がレストランに来るときに、傘をさした写真、うつむきながら歩いている写真、ベンチで暗い表情の写真が流れた。公演中はそれが何を意味するのかよくわからなかったけど、それが沖田さんの28歳の時だと分かった。ハンが事故にあった直後だ。だから暗い表情なんだ。親友が、信頼できるパートナーが回復の見込みはないと落ち込むところ。話がすべて繋がって腑に落ちた。
観客の想像と自分の思い出にゆだねられる部分が多いと感じた。きっと見る人によって想像する人は違ってくるし、自由に想像しても良い舞台なんだなと思った。
最後のあいさつで井出さんが、伝えるということのプロとして演じていたと言っていた。共演者も、アーティスト、役者、声優と言葉を届けるプロとして取り組んだと。ライブに行くたびに、“言葉を届ける”ということに全力を注ぐと言っていた。だから、衣装も動きもないこの朗読劇に出演したのだと腑に落ちた。
聴いてるだけでこれだけ想像できるんだから、しっかり伝わってる。
そして、終わった後はおなかがすく!!
台本をめくる指が綺麗。パラパラって紙をめくる音をさせないように静かにめくってた。
待機中に椅子に座ってる時も、背筋ピーンてして座っててさすが。
初めての朗読劇、見れて良かった。
感想はこのくらいで。
ではまた。